今回のテーマは「日本の政策金利」についてです。
政策金利と公定歩合を混同している方の為にまずはそちらの解説をします。

現在の政策金利とは?

日本の現在の政策金利とは、具体的には、無担保コール翌日物金利を指します。
現在0.50%です。無担保コール市場では金融機関同士が資金の貸し借りをします。

日本の現在の公定歩合とは日銀が金融機関に直接貸付を行う際の適用金利を指します。

現在0.75%です。経営が不振な民間銀行は信用が低いため、短期金融市場で借り入れできなくなることがあります。

このことで金融不安を招くリスクを防ぐために、担保さえあれば、日銀は制限なく民間銀行に公定歩合で融資をすることにしています。

担保があれば、民間銀行はどんなに高くても公定歩合の金利で借り入れが保証されるので、金融不安が軽減されます。

公定歩合は、規制金利時代には、預金金利等の各種の金利が公定歩合に直接的に連動していたため、金融政策の基本的なスタンスを示す代表的な金利でしたが、94年10月に預金金利が完全自由化されてからは、日銀の金融市場調節における操作目標が無担保コール翌日物の金利となり、意味合いが薄れました。

公定歩合が金融調節の主役としてのイメージが強いですが、「重視すべきは公定歩合の値ではなく、短期金利の誘導目標との幅である」と日銀も明言しており、公定歩合が金融調節の主役というかつての教科書の教えは過去のものなのです。

また日本銀行は2006年8月11日に「公定歩合」に関する統計の名称変更を行い、今後は公定歩合という名称は使わず、「基準割引率および基準貸付利率」と呼ぶことを発表しました。

現在の日本銀行の政策金利は、無担保コールレート(オーバーナイト物)であり、旧公定歩合には政策金利としての意味合いがないことを明確化しています。

政策金利と公定歩合の違いをご理解いただいた上で日本の政策金利について解説します。

まずは過去3年の日本の政策金利の推移を見てみます。

日本の政策金利について

記憶に新しい2006年7月14日のゼロ金利政策解除から、現在まで合計2回の利上げで政策金利は0.50%まで上昇しています。

ゼロ金利解除当初は物価指数がマイナスからプラスへ転じ堅調に推移していたことから、利上げが加速する予想も飛び交いました。

しかし物価指数の下落などを背景に2回の利上げに留まっています。

物価動向を判断する代表的な指標である全国消費者物価指数(除生鮮/前年比)を見てみます。

2006年7月14日のゼロ金利政策解除の時期は「物価上昇→長かったデフレからの脱却→日本利上げ→低金利時代の終焉→円高へのトレンドシフト」という記事が毎日のように掲載されました。

しかし実際は日銀の利上げ以降、物価指数は下降し、直近7回の発表では一度もプラス圏内に上がったことはありません。

日銀が今後継続的な利上げに踏み切るにあたり、物価指数のプラス圏への上昇は必要条件になるでしょう。

今回の日銀政策決定会合では、景気や物価等の日本のファンダメンタルズ以外の、(1)サブプライムローン問題に端を発した金融市場の混乱の拡大、(2)それを受けFOMCが公定歩合を6.25%→5.75%に引き下げたこと、(3)ECBが8/9に948億ユーロという巨額の流動性供給を行ったこと、(4)急激な円高を受けた国内実体経済への波及の懸念、など大きな外部環境の変化に伴い、利上げに関して様子見の姿勢をとらざるをえない状況でした。

事実、福井日銀総裁は今回の利上げ見送りの背景を「金融市場において世界的に振れの大きな展開となっており、その影響するところを含め、引き続き状況を注視する必要があるという判断に至った」と発言しています。

今後の政策金利を上げるタイミングについては、今回の利上げ見送りの理由の1つが金融市場の動向を注視するためであったこと、また「金融市場の落ち着きには時間がかかる、数週間とは考えにくい」と発言したことを踏まえると10月以降の0.75%への利上げが見込まれますが、その後の継続的な利上げを見込むにはさらなる景気の底上げ、物価の上昇が必要になってくると考えられます。