今回ののテーマは、今週FX業者の経営破綻で注目が集まった「分別管理と信託保全」についてです。

改正金融先物取引法では顧客の資産と会社の資産を分けて管理することが義務付けられており、その管理の仕方は「カバー先と呼ばれるカウンターパーティに預けるか、銀行預金か信託銀行での金銭信託する」とされています。

つまり同じ銀行に「FX業者A口」「FX業者B口」として、口座さえ分けておけば顧客の資産管理において法律的には問題ないということです。この方法は分別管理と呼ばれます。

分別管理の仕組みでは業者の破綻時は顧客資産が返ってこない可能性が高いと言われています。

その理由は分別管理の場合は顧客資産が倒産した業者の「差し押さえ対象資産」に含まれてしまうからです。

「FX業者A口」「FX業者B口」もFX業者の口座なので債権者から差し押さえられ、優先的に債権者へ弁済されます。

では信託保全はどうでしょうか。

信託保全とは委託者(FX業者)が信頼できる受託者(信託銀行)に財産権を引き渡し、受託者(信託銀行)がその財産(信託財産)を管理・処分するというスキームです。

万一FX業者が破綻して信託保全されていた証拠金を投資家に戻すときには「信託管理人」が全額を一旦受け取り投資家に返金することになります。

では信託保全であれば顧客資産は全額保全されるのか。
これは残念ながら必ずしもそうではないのです。以下の文章を見て下さい。
これは信託保全を導入しているFX業者の信託保全の紹介文の一部です。

「当社では分別保管だけでなく信託保全も導入しており、万一の場合も信託財産の範囲内で債権者が強制執行・仮差押を行うことができなくなり、お客様の資金は●銀行から信託管理人を通じ、お客様の有効額に応じて返還されます。万一の事態に一般債権と同様の扱いになる分別保管と比べ、より安心の取引環境となっております。」

「当社では入金額をリアルタイムに信託するのではなく週1回の信託額算出時の有効保有額を信託しております。そのため、お客様よりお預かりした時点から信託されるまで最大一週間のタイムラグが生じますので、お預かりした時点の有効保有額とお客様に返還する有効保有額は必ずしも一致しません。」

これを見る限り先ほど解説した信託保全とはやや異なる内容です。
なぜ信託保全なのに顧客の有効保有額の返還がされない場合があるのか。これは信託保全といっても様々な内容があるからなのです。
取引中の業者では以下の点は最低でも必ず確認しておく必要があります

(1)顧客資産の何%が信託銀行にて管理されるか

(2)入金して何日後から信託保全扱いになるのか

(1)は分別管理と信託保全を併せて導入するケースがあるため、顧客資産の中で信託保全されない資金が出てくる場合があるということです。

カバー先で50%(分別管理)、信託銀行で50%(信託保全)でも「信託保全導入」とアナウンスできるわけです。

しかし、この顧客資産の管理方法の割合は投資家に向けて明確にしているFX業者は少なく、逆に「全額信託保全」というように「全額」というポイントを売りにしている業者を選択する他ありません。

(2)は例えば週に1度しか信託保全をしないFXの会社であれば、入金して2日後にその会社が破綻したら顧客資産は戻ってこないわけです。

上記の抜粋のように「週1回の信託額算出時の有効保有額を信託」などの場合は業者破綻時に相応のリスクが伴います。

信託保全は万一の業者破綻リスクの対応に関する内容です。私は信託保全導入業者で取引することはもちろんですが、それ以前に財務内容が健全で自己資本規制比率も高く、総合的に判断して信頼できる業者を選択することが非常に重要であると考えています。現在私がメインで取引する2社は共に万全の顧客資産管理を行っている業者です。

私のメイン取引業者(1) ~短期用~

NY時間午後5時の時点で、スワップ損益・未実現損益も加えた顧客総資産を、毎日、全額信託保全。

信託契約先:新銀行東京(格付け:日本格付研究所より「A+」取得)

私のメイン取引業者(2) ~長期用~

NY時間午後5時の時点で、スワップ損益・未実現損益も加えた

顧客総資産を、毎日、全額信託保全。

信託契約先:三井住友銀行(格付け:日本格付研究所より「A+」取得)