FX投資に限らず、どんな仕事でもある程度の経験と深い知 識に基づく皮膚感覚を持っていれば、様々な局面でより良い判断を行うことができます。

この世の中に絶対的に良いというものはないので、より良いを追求することは意味があります。
「石の上にも3年」ということわざは、その道でより良い結果を残すためには、3年はかかるという意味合いを示しているのではないでしょうか。

FX投資の場合、チャートを徹底的に見極めて投資法を体得するというテクニカル手法をおこなっている方が多いですが、これに加え、ファンダメンタル手法を取り入れれば、更に成功率の高い投資ができるようになります。

また、世界の動きを見ながらFX投資しているという実感を持ちながら投資できるようになれば、より奥の深いFX投資体験を積むことができるようになり、気持ちの上での満足度のを一層高めながら、充実した投資生活を送ることができるようになるでしょう。

ここでは、FX投資とは少々離れて、そもそも為替とは何か、為替のしくみに関して理解することからはじめるための基礎について解説します。そしてその理解の元に、為替を動かす要因を把握すれば、いわゆる為替のファンダメンタルを体系的に理解することができるようになります。

それでは、具体的に見ていきましょう。

為替とは何か

日本の企業が外国の企業とものの売買(貿易取引)をしたり、お金の貸し借り(資本取引)をしたりすると、自国の通貨と海外の通貨を交換する必要がでてきます。

FX投資自体は資本取引ですが、実際には、貿易取引と莫大な資本取引の上に乗っかる形で 取引を行っているのです。

この異なる通貨を交換することを外国為替、または外為といいます。
自国通貨と外国通貨を交換売買する場所を、外国為替市場と言います。
市場といっても、物理的な取引所があるわけではなく、実際の取引は電話などの通信手段を通じて行われています。

為替相場は、各国経済の基礎的な条件、つまり、経済収支や物価、 成長率、金利水準など様々な要素を集約したファンダメンタルと、貿易取引、資本取引の需給、国際政治や経済、最近で言えば有事などの情勢に対する思惑などにより実にさまざまに変動します。

たとえば、日本企業が米国企業にたくさんものを売り、代金としてドルを受け取ったとしましょう。
日本企業は、社員に給料を支払うのも、国内で部品を調達するのも円で行うため、ドルを売り円を買 うことになります。
したがって、この貿易取引の結果、ドル安・円高となります。
実際には、ひとつの取引で相場が大きく動くわけではないので、傾向としてはそうなると言うことです。

また、日本の投資家がヨーロッパの国際に投資したとしましょう。
日本の投資家は持っている円を売り、ユーロを買って投資するので、この資本取引の結果、円安・ユーロ高となります。

余談ですが、われわれは1ドル=○○円という言い方をしますが、 国によっては、1ポンド=○○ドルという言い方をします。
ドルが後にくる標記のしかたです。
これは、自分たちの通貨を基準にしたがる国や、英国圏の気高い国では、自分の国の通貨を先に持ってくるからです。
実際、その方がわかりやすいですね。
たとえば、円高と言えば、円のレートが小さくなることなので、強く(高く)なっているのにレートが小さなり、慣れないと最初はわかりにくいですね。

為替市場のしくみ

よく為替市場という言い方をしますが、市場といっても、株式証券取引所のように、多くのディーラーが一カ所に集まって取引する取 引所はありません。

銀行の為替ディーラーが、電話や為替システムを使って直接相手と取引しています。
このような取引を相対取引といいます。
FX取引も、この相対取引で行われているのが一般的です。
したがって、各FX業者によって、微妙に取引レートはことなるのが普通です。

ニューヨーク、ロンドン、東京が世界の3大取引所といわれ、取引は24時間行われています。
東京の外国為替市場は、朝9時から午後3時までと言われていますが、これは、便宜上の仕組みで、こうすることによって、始値、終値、中心値が決められる訳です。

参考のために説明を加えておくと、為替ニュースなどでは、「1ド ル119.10から119.20で取引されています。」などと表現されています。
これは、両者の金額の間で取引されているのではなく、119.10で買いた人がいて、119.20で売りたいひとがいるという意味です。
これは、株式投資での表現と同じですね。

為替レートはいくつもある

われわれがニュースやFX投資の画面で目にするレートは、 実はいくつもあります。
先程紹介した、相対取引によって僅かに為 替レートが異なる以外にも、いくつも為替レートがあるのです。

新聞によって表示されている為替レート、銀行でドルを買うときの 為替レートなどです。
もう既におわかりかと思いますが、これらのレートは、時間的に遅れたレートです。

FX投資を行っている人から見ると、価値がないといっても 過言ではありません。
FX投資では、インターバンク間で取引されて いるレートに近いレートを見ながら取引しており、ほぼリアルタイムです。

それに対して、銀行での外貨購入では、大きな変動がない限り、一日中変更されなかったりします。
また、大きな手数料が上乗せされ た表示されていたりするので、FX投資を行っている人からみると、かなりかけ離れたレートを眺めることになります。
このようなレートを見ると、銀行での外貨購入や貯金の価値は何なのかと、考えさせられてしまいます。

為替の2大構成要因

貿易取引

為替取引の中には、大きく分けて貿易取引と資本取引があ り、FX投資は、資本取引の一部にあたります。
これはすでに説明しました。ここでは、先ず貿易取引から見ていきましょう。

貿易取引とは、国と国が行う物の取引のことです。
外国同士では、 当然通貨がことなるので、どちらか一方が自国の通貨を使えば、相手方は、外国通貨を使わざるを得なくなります。

たとえば、日米間の取引で米国がドルを使えば、日本もドルを使う ことになります。
自国通貨を使える米国は為替の影響を受けませんが、日本は、為替の変動次第では、利益も出れば損失もでます。
日 本側が製造業の会社なら、円高により利益の減少を覚悟しなければなりません。

為替リスクを回避するには、貿易取引で自国通貨を使えば良いことになります。
しかし、貿易取引においては、ドルが圧倒的に優位な 状態にあります。
日本の輸出の内、ドル建ては約48%、それに対して、円建ては39%しかありません。
輸入に至っては、ドル建てが約70%、円建ては約24%しかないのです。
したがって、日本がいかに為替リスクを背負った国であるかがわかります。

米国企業は、為替リスクをあまり負わない有利な状況にあるのですが、世界最大の経済力を持ち、国際政治を実質的に動かしているため、国際社会におけるドルの信認は最高に高いのです。

米国から もっとも多くのお金が流出し、米国へ最も多くのお金が流入してい る現状をみても、それが裏付けられています。

通貨自身が信頼され、実際に、お金の流れが最大であるため、基軸 通貨として世界中で機能しているわけです。
日本の円は、残念ながら日本以外ではほとんど流通していないので基軸通貨にはなり得ま せん。

しかし、FX投資を行っている限りにおいては、その様な通貨同士の 強みはあまり関係がありません。
通貨同士の動向はウオッチする必 要がありますが、FX投資では、その変動に意味があるのです。

資本取引

ものを扱う資本取引に対して、資本取引とは、国と国が行うお金の 取引のことです。

代表的なものでは、外国で工場をつくり、その国 の従業員の雇うことなどが該当します。

これは、資本取引の直接投資であり、投資によって外国との長期的な関係を築くことを目指す活動です。
お金を出して他国に向上などを作る手法を対外直接投資 と言います。

これに対して、資本取引には、間接投資と呼ばれるものがあります。
これは、証券による投資で、大半が債券投資です。直接投資とことなり、投資する側とされる側の関係は極めて薄いのが特長です。
FX投資は、間接投資に分類され、投資先との関連は全くないといって良いでしょう。

為替というと、先ずは、貿易取引が連想されます。
しかし、実際に は、資本取引は貿易取引よりも一度に大きなお金が動くので、為替 に与える影響は大きくなります。
企業がグローバル化している現状 や、ヘッジファンドが活発に活動している現状を考えると、なおさ らこの傾向は強くなっていると言わざるを得ません。

為替が動くと企業はどうなる

FX投資を行っていると、為替の動きは絶えず注視しています。
しかし、円高、円安は、国や企業にとっては収益を左右する大きな要因として軽視できず、絶えず総掛かりで対処しています
。FX投資 の場合とは、その重要度の規模が桁違いに大きいのです。

さて、為替や経済の教科書には、円高ドル安になると、ドル建ての 売り上げが減るので、輸出企業の業績は悪くなる、と書いている場合が多いです。
円安ドル高の場合はこの反対の動きをします。しか し、輸入企業のについては、円高ドル安になると、ドル建ての輸入 価格が下落するので有利に働き、業績が良くなると言われていま す。

これは、ほんとうにそうなのでしょうか。
私が株式取引をしていた 限りでは、おおむねこのような動きをしていたことは間違いありま せんが、そうでもない場合も多くありました。
この図式は、だんだ んと現実的では無くなってきているようです。

理由は簡単で、為替で差損を出し続けているようであれば、どの企 業であってもそれに対処するやり方を考案するもので、代表的な例が、現地生産を増やしたり、中国などの低コスト国に生産拠点を移したりすることです。
現地で生産すれば、給料や原材料費もドルで 支払うことになり、円高でドル建ての売り上げが減っても給料や原 材料費も減るからです。

また、最近では、現地生産だけでなく、現地での消費に期待して海 外投資をする場合も多く見られます。そうすると、為替の変動には ほとんど影響を受けないビジネスを行うことができます。つまり、 日本でいうと、原材料からすべて日本で調達して、日本で製造し、 日本のマーケットに販売している限り、為替の影響は受けない理屈 と同じです。

円高、円安のメリット・ディメリット

復習となりますが、先ず、円高は輸入品価格の値下がりを招くため、小売業などのは商品の値下げが可能になります。
輸入品が値下 がりすると、消費者の購買意欲がそそられるので、物がよく売れるようになります。したがって、輸入企業、小売企業、消費者にとっ てメリットがあると言えます。

しかし、輸出企業にとっては、円高は、収益を圧迫する要因となります。
そこで為替リスクをさけるため、現地生産や低コストの国で の精算を増やす方向に傾きます。
そうすると、輸出企業に勤める社 員の雇用が危うくなったり、給料が抑制されたりします。したがっ て、一般人にとってはディメリットとして働きます。

つまり、円高は、円高で輸入品が安く買えるという部分と、雇用や 賃金抑制という部分が表裏一体の関係にあるのです。

逆に、円安の場合はどうでしょうか。円高の場合と反対の動きをす るのでしょうか。輸入品は、値段があがって購入しにくくなり、単 純な理解で済みます。ところが、輸出産業では、すでに現地生産を 推し進めていると、すぐに雇用や賃金が安定するというわけにはい きません。輸出企業は、安定した業績を残すことが重要なので、円 高でも円安でも対応できる企業構造が必要なのです。

FX投資では、慣れてくると、円安に振れても円高に振れて も儲けることができるようになります。輸出企業が両方 に対応していることに似ていますが、もっと積極的に儲けることが できるという意味では、かなり状況が異なります。